コウジ酸にはどんな効果があるの?取り入れ方・副作用について解説
日本酒などに含まれる麹から発見された「コウジ酸」は、優れた美白成分として知られており、美白コスメをはじめ、多くのスキンケアアイテムに配合されています。
この記事では、コウジ酸の概要や効果、取り入れ方、副作用、他の美白有効成分との違いについて解説します。
コウジ酸とは
コウジ酸は1907年に日本で発見された成分です。コウジ酸は日本酒づくりに欠かせない麹に含まれており、麹菌が糖を発酵させることで生成されます。日本酒づくりの職人さんの手が、白くなめらかで美しいことから注目を集め、研究が進められてきました。
コウジ酸は名前に「酸」がついていますが、従来の酸とは性質が異なります。従来の酸の多くは古い角質を除去する働きがありますが、コウジ酸は色素の生成を防ぐ働きがあるのが特徴です。
色素の生成をおさえることで、肌を白く美しく保つ効果が期待できます。貴重な天然由来の美肌成分として、さまざまなコスメに配合されています。
期待できる効果
しみやそばかす、くすみの主な原因は、「メラニン」と呼ばれる色素の沈着です。紫外線の影響などで肌のなかに存在する「メラノサイト」と呼ばれる細胞が、メラニンを過剰につくることで発生します。
コウジ酸は日本酒や醤油の発酵過程で働く麹菌に由来する成分で、メラニン色素の生成と深く関係する酵素である「チロシナーゼ」の働きを抑制する働きがあります。チロシナーゼは、アミノ酸の一種である「チロシン」に作用し、メラニンを黒色の色素へと変化させます。コウジ酸を使用することで、しみ・そばかす・くすみを予防する効果が期待できます。
さらに、メラニン色素の沈着によるしみ・そばかす・くすみを予防するだけではなく「黄ぐすみ」にも効果があります。黄ぐすみとは、肌の透明感が失われて黄色っぽくくすんでしまう現象です。
黄ぐすみの主な原因は、「糖化」だと言われています。糖化とは、体内でたんぱく質と余った糖が結びつき「AGEs(エージーイー)」という物質がつくられることを指します。AGEsは、さまざまな体内組織に作用して、老化や病気の原因となります。
肌の表面で糖化が進むと、黄ぐすみやしみ、しわといったエイジングサインの引き金となるのです。コウジ酸は、AGEsの産生を抑制する効果があります。
臨床試験でも効果の高さが報告されており、肝斑やニキビ跡の改善に関しては有効率は90%以上という結果でした。
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このようにコウジ酸には、しみやくすみなどの肌悩みの原因となるメラニンやAGEsが生まれるのを防ぎ、白く若々しい肌を保つ効果が期待できます。
長年の研究の成果により、コウジ酸は1988年に厚生労働省により「美白有効成分」として認可されました。美白有効成分とは、医薬部外品に配合される成分のなかで「メラニンの生成を抑え、しみやそばかすを防ぐ」または上記と類似した効能を認められた成分を指します。
美白有効成分として認可されるには厳しい条件があり、2022年現在で約20種類の成分しか認可されていません。コウジ酸は、厚生労働省の認可を受けた数少ない成分のひとつです。
主な取り入れ方
優れた美白成分として注目されているコウジ酸ですが、主な取り入れ方は「食べ物」と「化粧品」の2つです。
食べ物
コウジ酸は日本酒や醤油づくりに使用する麹に含まれる成分で、麹を使用して製造される食べ物や飲み物から取り入れることが可能です。コウジ酸を含んでいる代表的な食品は以下の通りです。
・麹甘酒
麹甘酒とは、麹を使用してつくられた甘酒です。アルコールが含まれていないため、アルコールの過剰摂取による影響を気にせずに飲めます。コウジ酸はもちろん、糖分やアミノ酸、食物繊維、ビタミンなどが豊富に含まれており、美容効果が期待できます。
・酒粕
酒粕は、日本酒をつくる過程で「もろみ」を搾ったときに出る副産物です。もろみとは、蒸した米と麹、水、アルコール発酵を促進する酵母である「酒母(しゅぼ)」を混ぜ合わせて発酵させたものです。そのため、酒粕にはコウジ酸が豊富に含まれています。酒粕は、そのまま食べる、焼く、料理に使うなどさまざまな食べ方ができます。
その他にも、味噌や醤油、お酒など身近な食品にコウジ酸が含まれています。
化粧品
コウジ酸は、優れた美白効果があるため、化粧水やクリーム、美容液、パックなどスキンケアアイテムを中心に、さまざまな化粧品に配合されています。また、シミなどにスポット的に使用するスキンケアアイテムにも使われています。
化粧品の成分表示欄には、成分名「コウジ酸」表記されていますので、化粧品を選ぶ際は、チェックしてみましょう。
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副作用や安全性は?
コウジ酸は、米や醤油、キノコなどを発酵させる過程でつくられる副産物です。天然由来の美白成分のため、化学的につくられた美白成分と比べて効果はおだやかで、副作用も少ないと言われています。
1988年に厚生労働省により、美白有効成分として認可されて以来、健康被害の報告はなく、決められた含有量に従って配合されていれば、安全性は高いと言えるでしょう。
肌の炎症を起こすリスクもほぼありませんが、まれに接触性アレルギーの原因となり、赤みや腫れ、かゆみを引き起こす場合もあります。アレルギーが起きやすい方は、コウジ酸配合の化粧品を使う前に、医師に相談するとよいでしょう。
ちなみに、2002年に肝臓での発がん性と細胞のDNAや染色体の構造や量を変化させる「遺伝毒性」がある可能性があるとの報告があり、一時期、コウジ酸の製造・使用が中止されていました。
それに伴い試験を行い、化粧品や医薬部外品に配合されている量を、通常の方法で使用した場合は、安全性に問題がないという結論が出ました。そのため、現在はコウジ酸を配合した化粧品が通常通り製造・販売されています。
他の成分との違い
コウジ酸以外にも、美白成分として知られている成分はたくさんあります。成分ごとに、しみやそばかすを抑えるメカニズムや刺激の強さなどが異なります。
美白成分 | 美白効果 | 刺激の少なさ | 特徴 |
---|---|---|---|
コウジ酸 | 〇 | 〇 | くすみや黄ぐすみ、肝斑もケア、天然由来 |
ハイドロキノン | ◎ | △ | 美白効果が高い |
トラネキサム酸 | 〇 | 〇 | 抗炎症作用がある、肝斑ケアにも |
ビタミンC誘導体 | △ | △ | 皮脂ケアやエイジング対策にも有効 |
アルブチン | 〇 | 〇 | 刺激性が低く安定性が高い |
美肌効果の高い成分のなかには、刺激が強いものも少なくありません。
コウジ酸は美白効果が高く、くすみや黄ぐすみ、肝斑もケアできる点、天然成分で刺激が少なく安全性が高い点が特徴としてあげられます。
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コウジ酸は日本酒づくりに使われる麹に含まれる成分で、厚生労働省によって美白有効成分として承認されています。メラニン色素の生成と関係する酵素の働きを抑え、しみやそばかす、肝斑などをケア。さらには、糖化を防ぐ作用もあり、黄ぐすみにも効果があります。
肌への刺激が少なく、安全性も高いことから、多くの化粧品に配合されてる成分です。また、化粧品以外にも麹甘酒や酒粕といった食品からも取り入れられます。
他の美白成分と比較しても、美白効果が高く、刺激性が低いなどメリットの大きい成分です。しみやくすみなどの肌悩みにしっかりアプローチしてくれるといえるでしょう。