肌の透明感が失われ、顔全体が暗く曇って見えるくすみ肌。乾燥や血行不良、肌の糖化などによって引き起こされ、それぞれの原因によって肌が青黒くなったり黄色くなったりします。
この記事では医師の宇井先生に監修いただき、くすみ肌が起こる仕組みや改善方法、くすみの改善に効果的な美容施術などについて解説します。今日から実践できる生活習慣や気軽に受けられる美容施術がたくさんあるため、くすみ肌に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
監修者
やさしい美容皮膚科・皮フ科
秋葉原院 院長
医師 宇井 千穂 先生
準ミス日本受賞。全日空客室乗務員を経て、北里大学医学部を卒業し、皮膚科医、美容皮膚科医として勤務。
web雑誌での連載やサプリメント、化粧品の監修など、多方面で活躍中。
【医人VOICE】やさしい美容皮膚科・皮フ科 秋葉原院
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くすみ肌とは
くすみ肌とは、顔全体が暗く見える状態のことです。肌のくすみには血行不良や乾燥、色素沈着などが関係しており、これらの原因によって肌の透明感やツヤが失われると、顔が暗く疲れているような印象を与えてしまいます。
くすみ肌は原因によってそれぞれ対策方法が異なるため、まずは自分の肌がくすんでいる原因を把握することが大切です。
肌がくすむ原因
肌がくすむ主な原因は、「乾燥」「血行不良」「糖化」「色素沈着」「古い角質の蓄積」の5つで、原因によって肌の色や与える印象はさまざまです。
乾燥
くすみ肌の原因として一番考えられるのは、肌の乾燥です。肌内部の水分や油分が不足して肌が乾燥すると、キメが乱れて肌表面に細かい凹凸ができます。そこへ光が当たると影ができ、顔全体が暗くトーンダウンして見えてしまうのです。
肌の乾燥は加齢や元々の肌質によって起こるほか、日々のスキンケア習慣にも密接に関わっています。肌を強くこすったり、洗顔後すぐに保湿をしなかったりすると乾燥しやすくなります。しっかりと保湿を行うことが大切です。
血行不良
血行不良の原因は、運動不足や冷え、身体の疲れ、睡眠不足などです。血の巡りが悪くなると、肌に必要な栄養が届きにくくなり、顔の血色感が失われて青黒く見えてしまいます。
日頃から適度に運動する習慣をつけ、入浴時はシャワーだけでなく湯船に浸かって体を温めると、血行が促進されて徐々にくすみが改善されます。規則正しい生活リズムを心がけることも重要です。
糖化
糖化とは、エネルギーとして使われなかった糖分が体内のたんぱく質と結合し、細胞を攻撃してしまう現象のことです。糖分とたんぱく質が結合すると糖化反応が起き、「AGEs」という悪玉物質が生成されます。AGEsは黄褐色の物質のため、糖化が起こると肌が黄色っぽくなってしまいます。
糖化は「肌の焦げ」ともいわれており、肌のハリやツヤを奪い、シワやたるみを引き起こします。主な原因は糖分の過剰摂取なので、甘いものや脂質の多い食べ物を摂りすぎないように気をつけましょう。
色素沈着
色素沈着の原因は、肌にメラニン色素が蓄積されることです。メラニン色素は紫外線を浴びた際に肌内部のメラノサイト細胞で生成される色素で、紫外線や摩擦、ストレスなどの刺激から肌を守るはたらきがあります。
通常メラニン色素は肌のターンオーバーとともに体外へ排出されます。しかし、肌ダメージや生活習慣の乱れ、加齢などによってサイクルが乱れると、うまく排出されません。排出されないまま肌表面に残ったメラニンは茶色っぽく見えることがあります。
また、顔の皮膚をむやみに擦ったり、メイク時にまぶたを強く刺激したりすることも色素沈着の原因となるため注意が必要です。
古い角質の蓄積
私たちの皮膚細胞は肌内部の皮下組織で作られ、約6週間かけて新しい肌に生まれ変わっています。この肌代謝のことをターンオーバーといい、古くなった皮膚細胞は肌表面の角質層に到達すると垢となって自然に剥がれ落ちます。
しかし、不規則な生活を続けたり肌が乾燥したりすると、古い角質が排出されずに肌表面に蓄積され、肌が灰色がかった色にくすんでしまいます。
肌のターンオーバーはビタミンなどの栄養を摂取し、生活習慣を改善することで、正常な状態に戻すことが可能です。
肌のくすみを改善する方法
ここからは、肌のくすみを改善する方法について解説します。肌のくすみを改善するには、保湿や紫外線対策、食生活の見直しが大切です。今日からすぐに改善できるポイントを見つけて、ぜひ参考にしてみてください。
スキンケアを丁寧に行う
肌のくすみ改善には、毎日の丁寧なスキンケアが欠かせません。肌を強くこすったり1日に何度も洗顔したりすると、肌表面にある皮脂膜や保湿成分が失われ、摩擦や乾燥で肌がくすんでしまいます。
洗顔は1日1～2回を目安に、手で泡をやさしく転がすようにして汚れを落としましょう。すすぐときは肌に必要なうるおい成分を逃がさないよう、人肌ぐらいの温度にするのもポイントです。
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保湿をする
肌を乾燥から守るためには、日頃からしっかりと保湿を行うことが重要です。
とくに洗顔後は肌の水分が失われやすいので、すぐに保湿するのがポイントです。化粧水→美容液→乳液→クリームの順でスキンケアを行い、必要に応じて乳液前にフェイスパックを使用しましょう。
また、エアコンの効いた室内の空気は乾燥しています。加湿器を使用するのも乾燥対策には有効です。扇風機の風に直接あたると肌表面の水分はどんどん奪われるため、避けましょう。日中もミスト化粧水や乳液などでこまめに保湿するとよいでしょう。
血行を促進させる
血行不良が原因の青黒いくすみ肌の方は、血行を促すことが大切です。簡単な改善方法として、睡眠サイクルを一定にしたり、適度な運動やお風呂で湯船に浸かることなどの生活習慣の改善が挙げられます。水分をこまめに摂り、バランスのよい食事をすることも重要です。
また、お風呂上がりに顔周りのマッサージをするのも効果的ですが、肌を強く擦らないようにやさしい力で行いましょう。
ビタミンや鉄分を摂取する
ビタミンや鉄分を十分に取ることで、血行不良や色素沈着、乾燥などの改善が可能です。くすみのないクリアな肌は、明るい肌印象を与えます。ビタミンや鉄分は、以下の食べ物によく含まれているので、意識的に摂るようにしてみましょう。
ビタミンを多く含む食べ物
・アーモンド（ビタミンE）
・アボカド（ビタミンB群）
・カボチャ（β-カロテン、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE）
・柑橘類（ビタミンC）
・いちご（ビタミンC）
・じゃがいも（ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB6）
・うなぎ（ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンE）
鉄分を多く含む食べ物
・カツオ
・レバー
・ほうれん草
・あさり
・大豆
・卵
・ひじき
食生活を見直す
糖質が多く含まれる食事を続けていると肌が糖化し、肌色が黄色っぽくくすんでしまいます。改善するためには、日々の食生活を見直すことが大切です。
例えばおやつを甘いお菓子からナッツ類に変えたり、白米やパスタを食べる前に野菜を食べたりすると、血液中の糖が増えるのを抑えることができます。ぜひ今日の食事から試してみましょう。
紫外線対策をする
色素沈着によって肌がくすんでいる方は、紫外線対策を徹底しましょう。
紫外線は気温や天候を問わず、一年中降り注いでいます。春夏シーズンや晴れの日に日焼け止めを塗るのはもちろんのこと、冬や曇りの日にも日焼け止めを塗ることで紫外線ダメージを防ぐことができます。
日焼け止めは汗や水で落ちやすいため、数時間ごとに塗り直すのもポイントです。また、とくに日差しの強いときは日傘やサングラスを使用するのも効果的です。
【医師監修】意外と知らない正しい紫外線対策！いつから始めるのが正解？
生活習慣を改善する
不規則な生活をしていると、肌のターンオーバーサイクルが乱れ、くすみ肌につながります。無理のない範囲で適度に運動したり、食事の栄養バランスを意識したりしましょう。睡眠の質を上げることも大切です。
また、過度なダイエットや喫煙・過度な飲酒もターンオーバーの乱れ・くすみ肌の原因になります。日々の生活で改善できる点はないか探してみましょう。
美容医療を受ける
美容医療も、くすみ肌を改善する方法の一つです。美容医療は、生活習慣を改善するよりも効果をすぐに感じやすいため、即効性を求めている人に適しています。
美容医療にはくすみ改善に効果的な施術がたくさんあります。一番手軽な美容点滴からドクターに相談するのもいいでしょう。その他にも痛みやダウンタイムなどのリスクを考慮している医療機器もあるため、初めて美容医療を受ける方にもトライしやすいでしょう。
肌のくすみを改善できる美容施術
肌のくすみは美容医療でも改善できます。くすみの原因によって効果的な施術は異なるため、自分のくすみの原因を知ることが大切です。くすみの原因とそれぞれに効果的な美容施術についてまとめます。参考にしてください。
乾燥くすみには
乾燥くすみには肌の保湿を心がけるだけでも、かなりの改善が期待できます。肌の保湿に優れた美容術はを紹介します。
エレクトロポレーション
肌に微弱な電流を流し、そのままでは分子が大きすぎて導入できないヒアルロン酸を肌の奥深くまで導入することが可能です。美容成分の浸透率はイオン導入の約20倍ともいわれています。ヒアルロン酸は肌を保湿し、乾燥くすみを改善するために欠かせない成分です。
プラセンタ注射
ヒトの胎盤から抽出した成分を肌に直接注射する施術です。豊富な成長因子を含み、肌の保湿やキメの細やかさを決定づけるコラーゲンやエラスチンの新たな産生を促します。乾燥くすみに効果的な美容術です。
プラセンタ注射 豊富な栄養素の効果で肌の不調や疲れなど女性の悩みを改善
メラニンくすみには
レーザートーニング
レーザートーニングは出力を抑えたレーザーの光を広い範囲に照射する施術です。大きなダウンタイムがないことが人気のシミ治療で、メラニンが原因のくすみに適しています。また、レーザートーニングは肝斑の方でも受けることができる優しいレーザーなので、医師に相談の上、治療をしましょう。
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ケミカルピーリング
トリクロロ酢酸やサリチル酸、レチノイン酸など数種類の剥離剤を配合したピーリング治療です。ターンオーバーが乱れてメラニンの排出がうまくいかなくなってきたら、一度しっかりメラニンを含んだ表皮を剥離し、くすみのない明るい肌をめざします。
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トラネキサム酸
肝斑の治療によく用いられます。肝斑は刺激を嫌い、レーザーでは悪化することがあるためトラネキサム酸やシナールなどの内服薬を使用しながらの治療が第一選択となります。トラネキサム酸を内服しつつ、ケミカルピーリングを組み合わせることで、より早くメラニンの排出を促してくすみの改善を目指すことが可能です。
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血行不良には
ヒーライト
ヒーライトは遠赤外線の温かくやわらかな光を当てる温熱治療器です。細くなってしまった血管を蘇らせ、血行を良くすることで血色のいい明るい肌を目指すことができます。
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ユベラ
ユベラとはトコフェロールという名前でも知られているビタミンE製剤です。ビタミンEは血行を促します。血流が良くなることで肌の隅々にまで栄養がいきわたり、肌はイキイキとした明るさを取り戻します。
糖化くすみには
高濃度ビタミンC点滴
ビタミンCには抗酸化作用があることで知られていますが、抗糖化作用も見逃せません。また、ビタミンCはコラーゲンの生成にも欠かせない成分です。高濃度ビタミンC点滴によって抗糖化を促すとともにコラーゲンを増やして、肌のハリや潤いを保ち、くすみのない明るい肌を目指しましょう。
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タチオン内服
タチオンとは、グルタミン酸の一種です。強力な抗酸化作用があり、肝臓の働きを助けます。ターンオーバーを内側から助けて、増えすぎてしまったメラニンを早く排出するサポートが可能です。シミやソバカス、肝斑の治療のために用いられます。
角質くすみには
ハイドラフェイシャル
「クレンジング・ピーリング・毛穴吸引・保湿・美容液導入・保護」までを一度に行う美容術です。古くなった角質を「落とし」、毛穴汚れを「取り除いて」美容液を「導入」し、肌バリアを「保護」します。
日々の生活や仕事が忙しくて、しっかりしたお肌のお手入れがなかなかできない、という方に人気があります。古い角質や汚れをしっかり落とすだけでも明るい透明感を感じるはずです。
ハイドラフェイシャル 年齢と共に気になる肌のケア
まとめ
肌のくすみは乾燥や色素沈着、糖化などのさまざまな原因によって起こるものです。改善するためには、日々のスキンケアでのこまめな保湿や紫外線対策が欠かせません。
食生活を見直して糖質の摂取を調整することや、適度な運動・規則正しい生活リズムを心掛けて血流を促すことも、くすみ改善につながります。
フラクショナルレーザーやフォトフェイシャルなどの美容施術を合わせて受けると、より効果的にくすみ肌の改善が可能です。興味のある方はぜひ美容皮膚科でカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。
