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【薬剤師監修】ミヤBM錠に痩せる効果は本当にあるの?

「ミヤBM錠を飲むと痩せる」という情報を目にしたものの、本当にダイエット効果があるのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

ミヤBM錠は医療用医薬品で、腸内環境を整える作用のある薬です。抗生物質と一緒に、病院で処方された経験がある方もいるかもしれません。

この記事では、ミヤBM錠の効能効果や痩せるといわれている理由について詳しく解説します。

ミヤBM錠の副作用や飲み合わせ、ビオフェルミン整腸剤との違いなどついてもあわせて解説しているので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

教えてくれたのは

薬剤師 稲嶺千春 さん

大学卒業後、製薬企業で健康食品の品質保証に携わる。その後、調剤薬局の薬剤師へと転職して心療内科の処方を中心とした臨床経験を積む。会社員として働くなかで、自分の力だけで人々に価値提供していくことに興味をもち、もともと興味のあった美容や健康分野を中心に執筆活動をしている。

ミヤBM錠とは

ミヤBM錠とは、「宮入菌(みやいりきん)」と呼ばれる「酪酸菌(らくさんきん)」を主成分とする整腸剤のことです。酪酸菌とは動物の体内にもともと存在する菌で、腸内環境を整える働きをもちます。

酪酸菌は「芽胞(がほう)」と呼ばれるバリアを形成することから、酸や熱に強い特徴があります。

それでは、ミヤBM錠の効果や詳しい作用機序について見ていきましょう(※1)。

効果効能

ミヤBM錠は整腸作用をもつ薬で、腸内菌叢(腸内フローラ)の異常による便秘や下痢、お腹の張りなどの諸症状を改善します。

また、ミヤBM錠に含まれる酪酸菌は、菌を殺す作用をもつ抗生物質と共に服用しても死滅しにくいです。

そのため、抗生物質の主な副作用である下痢を防ぐために、ミヤBM錠が一緒に処方されることも多くあります。

作用機序

ミヤBM錠の主成分である酪酸菌は、腸内で「酪酸」や「酢酸」などの「短鎖脂肪酸」をつくり出します。

短鎖脂肪酸には、腸内を弱酸性に保つことで悪玉菌の増殖を抑える働きがあるため、腸内環境の改善に効果が期待できるのです。

ミヤBM錠を飲むと痩せるといわれる理由

ミヤBM錠を飲むと痩せるといわれる理由は、ミヤBM錠の主成分である酪酸菌がつくり出す「短鎖脂肪酸」に、脂肪の蓄積を抑える働きが報告されているためです(※2)。

体内の余分な脂肪を蓄える「白色脂肪細胞」と呼ばれる細胞には、短鎖脂肪酸を感知するセンサーが備わっているとされています。

体内を循環している短鎖脂肪酸がこのセンサーによって感知されると、脂肪細胞への過剰なエネルギーの取り込みが抑えられ、脂肪の蓄積が抑制されるのです。

ミヤBM錠はあくまで整腸剤であるため、飲むだけで大幅に痩せることはありません。しかし上記の作用から、痩せやすいからだ作りをサポートする効果がある程度は期待できると考えられます。

一方で、「ミヤBM錠を飲むと太るのではないか」と心配される方もいますが、脂肪の蓄積抑制作用をもつミヤBM錠を飲むことと、太ることの直接的な関連性はないと考えられます。

痩せるためには「腸活」も効果的

ミヤBM錠は整腸剤ではあるものの、酪酸菌による脂肪の蓄積を抑制する作用が期待できる薬です。しかし、薬だけに頼っていても、期待できる効果は薄くなってしまうでしょう。

健康的に美しく痩せるためには、普段の食生活を工夫することによる「腸活」もひとつの方法です。

腸活とダイエットの関係

腸活とは、腸内環境を整えることで、からだを健康に導くことをいいます。腸活によって腸内環境が改善されると、腸内細菌によって「短鎖脂肪酸」が多くつくられるようになります。

前述したとおり、短鎖脂肪酸には脂肪の蓄積を抑える作用があるため、腸活にはダイエットをサポートする働きが期待できるのです。

また、腸活によって腸内の善玉菌が増えると、腸内環境が改善されて脂肪の分解や排出がスムーズになる効果も期待できるでしょう。

日常生活に取り入れやすい腸活の方法

腸活がダイエットにいいことは理解したものの、具体的に何をしたらいいのかわからない方に向けて、ここでは日常生活に取り入れやすい腸活の方法を紹介します。

水分をしっかり摂る

十分な量の水をしっかり摂取することで腸の働きを促すことができます。

1日に必要な水分摂取量の目安は、1.5L程度とされています(※3)。なるべく冷たい水は避けて、1回でコップ1杯(200mL)程度を目安に、複数回に分けて飲みましょう。

発酵食品を摂取する

ヨーグルトやキムチ、納豆、味噌などの発酵食品には、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が含まれており、腸内環境を整えるために有用な働きをします。

ビフィズス菌や乳酸菌など、人間の健康に有益な働きをもつ微生物のことを「プロバイオティクス」と呼びます。

プロバイオティクスは、腸内である程度の期間は存在できても、長くとどまり続けるわけではありません。そのため、毎日の食事から継続的に摂取し続けるとよいでしょう。

食物繊維を摂取する

食物繊維は善玉菌の栄養源となるため、腸内環境を改善するために重要な成分です。食物繊維やオリゴ糖など、善玉菌のエサとなる成分を「プレバイオティクス」といいます。

実際に、肥満マウスを用いた研究では、プレバイオティクスやプロバイオティクスを活用することで、肥満の軽減が認められたとの報告があります(※2)。

普段の食事から、食物繊維が豊富な野菜や果物、穀物、海藻類などの食材を積極的に取り入れるようにしましょう。

ミヤBM錠の用法用量

ミヤBM錠は、成人では1日3~6錠を3回にわけて服用します(※1)。

また、ミヤBMには顆粒剤も存在します。顆粒剤の場合は成人において1日1.5~3gを3回にわけて服用します。

なお、薬の量や服用回数は年齢や症状により適宜増減する場合があるため、処方した医師の指示に従って服用しましょう。

ミヤBM錠は、継続することで耐性ができて効かなくなったり、依存性が生じたりするような薬ではないため、毎日飲み続けても問題はありません。

ミヤBM錠の副作用

ミヤBM錠の主成分である酪酸菌は化学物質ではなく、元々動物の体内に存在する菌なので、副作用は非常に少ないといわれています。

実際に、ミヤBM錠の添付文書上でも副作用についての記載はありません。

服用することで腸内環境が整い、排便回数が増えることは考えられますが、これはミヤBM錠の整腸作用によるものなので過度な心配は必要ありません。

ただし、症状の出方が強い場合や、長期間改善しない場合などは無理をせずに医師や薬剤師に相談しましょう。

ミヤBM錠はどこで買えるのか

ミヤBM錠は「医療用医薬品」であるため、購入するためには医療機関を受診する必要があります。

ただ、ミヤBM錠そのものは市販されていないものの、ミヤBM錠の主成分である酪酸菌が含まれた市販薬はいくつか存在します。

仕事や家庭の事情で忙しく、病院に行く時間がなかなか取れない方は、市販薬を活用するのもひとつの方法でしょう。

ミヤBMとビオフェルミンとの違い

ビオフェルミンもミヤBMと同じ整腸剤ですが、配合されている菌の種類が異なります。

ミヤBMには善玉菌の一種である「酪酸菌」が含まれるのに対して、ビオフェルミンは同じく善玉菌の一種である「乳酸菌」と「ビフィズス菌」を含有する薬です。

ミヤBMとビオフェルミンは共に整腸剤であるため、両者が一緒に処方されることは少ないかもしれませんが、併用しても飲み合わせの面でとくに問題はありません。

ミヤBM錠に関してよくある質問

ここでは、ミヤBM錠に関してよくある次の質問について回答します。
ミヤBM錠に関してより詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

ミヤBM錠と飲み合わせが悪い薬はありますか?

基本的にミヤBMと飲み合わせに注意が必要な薬はないため、過度な心配は必要ないでしょう。

ビオフェルミンをはじめとするほかの整腸剤や、酸化マグネシウムといった下剤と併用しても問題ありません。

ミヤBM錠の効果が出るまでにかかる時間は?

ミヤBM錠の整腸効果を実感するまでの時間は、内服してから5時間後からだとされています(※1)。

ミヤBM錠の主成分である酪酸菌が消化管内で増殖するには、時間がかかるためです。

ただし、効果を感じはじめる時間については個人差があるため、服用してもとくに効果実感できない場合は、医師や薬剤師に相談するといいでしょう。

ミヤBM錠を飲んで便秘になることはありますか?

ミヤBM錠は、整腸作用を示すことで便秘や下痢などの症状を改善する薬なので、服用によって便秘を引き起こすことは考えにくいでしょう。

ミヤBM錠を服用したタイミングで便秘になった場合、何か別の原因が隠れている可能性もあるため、症状が長く続く場合は医療機関へ相談がおすすめです。

ミヤBM錠は副作用の少ない安全な整腸剤

ミヤBM錠は酪酸菌を主成分とした安全性の高い薬で、便秘や下痢、お腹の張りなどの諸症状に作用を示します。

「ミヤBM錠を飲むと痩せる」といわれている理由は、主成分である酪酸菌がつくり出す「短鎖脂肪酸」に脂肪の蓄積を抑制する作用があるためです。

ただし「ミヤBM錠だけ飲めば痩せる」ということではなく、効果的にダイエットするためには食事の工夫や運動をする必要があります。

健康的に美しく痩せるためには、腸活を取り入れることで腸内環境を整えることもひとつの方法です。

【参考文献】
1)ミヤBM錠|添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/750144_2316009C1026_1_07
2)肥満症とエネルギー分配|腸内細菌叢と肥満症|日内会誌 104:703~709、2015
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/4/104_703/_pdf
3)水は一日どれくらい飲めば良いのか|健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/water.html

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